望遠レンズがポートレート撮影に向いている理由

カメラの基本

中望遠レンズ(85mm〜)、望遠レンズ(〜200mm)がなぜポートレート撮影に向いているか?

私自身があまりポートレートを撮らないのでポートレート向けの「85mmF1.8の単焦点」「100mmF2.8mmマクロ」「70-200mmF2.8(F4)」と言ったレンズを所有しておらず、必要性も感じていませんでした。

ところが最近、証明写真や記念撮影をすることがあり、その際に「同じ100mmでも、標準ズームレンズの望遠側を使用するのと、望遠レンズを使うのでは違う」とアドバイスをもらって、一体何が違うのかを調べたので記事にしたいと思います。


spicaカメラマン
spicaカメラマン

実際、私が人物撮影をするのは、スナップ撮影の合間に個別ショットをとることがほとんどだったので「AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR」などの標準ズームの望遠側を使用して対応していました。実際それで困ったこともなかったのですが、ポートレートをメインにする撮影を受けるとなると、望遠レンズのほうがいいのかな?と考えるようになりました。


70-200mmなどはの望遠レンズは離れた距離での撮影に適するようにチューニングされているので湾曲やボケ感などもキレイだと言う意見が多いようです。

望遠レンズがポートレート撮影に向いている理由

焦点距離:120mm F値:F4
NikonD750使用

中望遠・望遠レンズがポートレートに向いている理由を解説していきます。

1. 圧縮効果(遠近感の圧縮)

  • 望遠レンズ(85mm〜200mm程度)は被写体と背景の距離感を圧縮し、背景が近く見えるようになります

  • これにより被写体が背景から浮き立ち、顔の形や輪郭が自然で美しく見えます

  • 広角だと顔のパーツが歪みやすいですが、望遠では歪みがほぼありません

2. 背景ボケが大きく出やすい

  • 長い焦点距離は同じF値でも被写界深度が浅くなり、背景がなめらかにボケます

  • ポートレートでは背景をぼかして被写体を際立たせやすい

  • 特にF2.8やF1.8の望遠レンズだと、まるで絵画のような立体感が出せます

3. 撮影距離が取れる

  • 被写体との距離を離してもアップで撮れるため、自然な表情を引き出しやすい

  • カメラマンが至近距離にいない分、モデルが緊張しにくい

  • 野外や人混みでもフレーミングしやすい

4. 顔のパースが自然

焦点距離:170mm F値:F5.3
NikonD750使用

  • 人間の目に近いパースを再現するには、85〜135mm程度の中望遠が理想的

  • 広角で顔を撮ると鼻が大きく見えたり輪郭が広がってしまうが、望遠では顔の形が整って見える

5. 背景整理がしやすい

  • 狭い画角なので、余計な物を画面から外しやすい

  • ロケ地で背景のごちゃごちゃを避け、シンプルに構成できる

まとめ

望遠レンズは「被写体を美しく」「背景を整理」「距離を保って自然な表情」というポートレートに必要な3要素を満たしやすいレンズです。

85mm・135mm・200mm比較

望遠レンズの代表的な焦点距離 85mm・135mm・200mm で、ポートレート撮影時にどう写りが変わるのかを比較します。

(条件:フルサイズ機、同じF値・同じ構図で顔アップを撮影)


① 85mm(中望遠の王道)

NikonZ85mm/f1.8S
画像:NikonHPより

  • 特徴:ポートレートの定番。顔のパースが自然で、やや背景ボケも大きく出やすい

  • 描写:自然で柔らかい雰囲気。顔の立体感が保たれつつ、少しだけ背景が近づいたように見える

  • メリット①:室内ポートレートや狭い場所でも撮りやすい

  • メリット②:被写体との距離をとれるので、自然な表情が撮りやすい

  • 向いている場面:バストアップ、七五三、ウェディングの控室など

② 135mm(背景圧縮が強め)

Nikon NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
画像:NikonHPより

  • 特徴:背景がぐっと近くに寄って見え、ボケ量が増す

  • 描写:輪郭が引き締まり、背景がふんわり溶ける。映画のワンシーンのような雰囲気

  • メリット①:背景を大きくぼかしつつ、被写体を際立たせられる

    メリット②:被写体との距離をとれるので、自然な表情が撮りやすい

  • 向いている場面:ロケーション撮影、成人式前撮り、雑誌風ポートレート

③ 200mm(強い圧縮効果)

Z 70-200mm F2.8 VR S
画像:Nikonより

  • 特徴:背景が非常に近く、被写体が浮き立つように見える

  • 描写:顔のパーツが完全に歪みなく、背景はとろけるほどボケる

  • メリット:雑多な背景をほぼ消せる

  • デメリット:撮影距離が長くなるため、室内では使いにくい

  • 向いている場面:屋外でのアップショット、イベント撮影、動きのあるモデル撮影

望遠レンズの焦点距離別・比較表

焦点距離ごとのざっくり比較(フルサイズ・顔アップ想定)
焦点距離 圧縮効果 背景ボケ 撮影距離 自然な表情の撮りやすさ 室内向き ひと言タグ
85mm ★★☆☆☆ ★★☆☆☆ 近め 高い 室内OK
135mm ★★★☆☆ ★★★☆☆ 中距離 高い ロケ向き
200mm ★★★★★ ★★★★★ 遠め 非常に高い × 背景整理◎

おすすめ望遠レンズ3選【Fマウント】

ブログ掲載リンクより商品を購入された場合は当ブログ収益となります

Fマウントレンズのいいところは中古だとかなりリーズナブルな価格で購入できる点です。
FTZマウントアダプターを使用すればZマウントボディでも使用できるのでZユーザーにもおすすめ。

AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G

  • 軽量&コンパクト:ポートレート向け85mmとしては軽く、持ち運びしやすい

  • 高い解像力と美しいボケ:開放からシャープで、後ボケが柔らかい

  • 手頃な価格:F1.8クラスとしてはコストパフォーマンスが高い

  • 顔のパースが自然:歪みが少なく人物の輪郭がきれいに写る

AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

  • 等倍撮影が可能:花・昆虫・アクセサリーなどのクローズアップ撮影に最適

  • 中望遠としても優秀:ポートレートでも自然な距離感で撮影可能

  • VR(手ブレ補正)搭載:マクロ撮影時のブレを軽減

  • 高コントラスト&高解像:微細な質感描写が得意

AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR

  • 軽量な望遠ズーム:F2.8モデルより大幅に軽く、長時間の手持ち撮影も楽

  • 高い解像力:全域で安定したシャープさ

  • VR搭載:低速シャッターでも安定感あり

  • 汎用性が高い:風景、スポーツ、ポートレート、イベントなど幅広く活躍

おすすめ望遠レンズ3選【Zマウント】

ZマウントはNikonミラーレス一眼に対応した現行のマウントです。それに対応したZレンズの描写力はすばらく、ユーザーからの評価もとても高いです。

Zマウントレンズの良さは、光学性能・AF性能・設計自由度の3点に集約されます。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 S

  • S-Lineの高解像と逆光耐性

  • 周辺までシャープでポートレートに最適

  • 滑らかなボケと色再現

NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S

  • 等倍マクロ&中望遠ポートレート両対応

  • 手ブレ補正(VR)搭載

  • ナノクリスタル+アルネオコートでフレア抑制

  • AFが静かで動画撮影にも向く

NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

  • S-Lineの高解像&強力なVR

  • ズーム全域で画質均一

  • スポーツ・ポートレート・風景と万能

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