【手ブレ補正の段数】てなに?解説記事

カメラの基本

この記事ではカメラやレンズのカタログに書いている【手ぶれ補正の〇〇段】の意味について書いています。

【結論】
・手ブレ補正1段=シャッタースピードが1段遅くできる
例:シャッタースピード1/60→1/30にしても手ブレしない。
・手ブレ補正1段=ISO感度を一段下げれる
例:ISO感度ISO800→ISO400に下げても同じシャッタースピードで手ブレしない。
ボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正を協働できるモデルもある
望遠撮影ではレンズ内手ぶれ補正のほうが補正が効く

カメラ好きのみなさん、こんにちは!カメラマン夫です。
今回はよくカタログなどで目にする【手ブレ補正】について書いていきます。
ミラーレス以前ではレンズ内手ぶれ補正(ミラーレス後では進化してボディ内手ぶれ補正と協働するレンズが出ています)、ミラーレス以後はボデイにも内手ぶれ補正機構が取り入れられる機種が増えました。

それにともない、カタログスペックを見ていると「手ぶれ補正4段!!」「手ぶれ補正5段」などと目にすることがあります。
もちろん手ブレ補正5段のほうが4段より性能が高いことはわかると思います。
しかし実際【手ブレ補正1段】で写真撮影にたいして、どのような恩恵があるかを詳しく説明・理解できる人は少ないかもしれません。
そこで今回は、知っているようで知らない【手ブレ補正】の段数について解説を行っていきます。

手ブレとは

まず手ブレ補正について解説していく前に、【手ブレ】について理解する必要があります。以前の記事に「シャッタースピードの基本。手ブレを抑える設定」にも書いていますが、あらためて説明をします。

「シャッタースピード」の基本。手ブレを抑える設定
「シャッタースピード」の基本。手ブレを抑える設定
「写真がブレてしまうなぁ」と撮影した写真を見返して感じることないですか? それはシャッタースピードの問題であることが大半...

写真を撮るためには、【光】を取り込む必要があります。

上記の解説図のようにシャッタースピードを上げると被写体を止めたように撮影することができます。逆にシャッタースピードを下げると流れている川が糸を引くように「点から線」の写真になります。ただシャッタースピードを下げて三脚を使わないと、ここで説明している【手ブレ】が発生します。

作例が極端ですが、手ブレすると、このようにボワッ(ピントの合っていない)として被写体がブレた写真になります。

よく手ブレしないシャッタースピードの目安として【1/焦点距離】と言うものがあります。例えると「焦点距離50mmのレンズを使用する時はシャッタースピードを1/50に設定」すると手ブレしにくいと言うことです。
これが暗所でシャッタースピードを1/50確保できない場合(1/30、1/15と低い設定)に手ブレが発生します
そこで遅いシャッタースピードでも手ブレを発生させないようにしてくれる機能が、次項より説明する手ブレ補正と言うことになります。

手ブレ補正とは

【手ブレ補正】=手ブレ(撮影者の動き)を打ち消す補正をかけてくれる機能

となります。

そして、冒頭でお話した手ブレ補正の「4段分」や「5段分」、はたまた最近では「8段分」などと言う数字は、いったいどういう意味なのか解説します。


上記のように【絞り(F値)・シャッタースピード・ISO感度・焦点距離】を同じ設定で手ぶれ補正の有り無しで比較してみました。

※使用したレンズは4段分の手ぶれ補正搭載のNikonAF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRです。

このように同じ設定でも手ブレ無しだとブレていますが、手ブレ有りだとブレずに撮影ができました。

カメラマン夫
カメラマン夫

比較写真にするとわかりにくいですが、ピントを合わせた右目付近をよくみると手ブレ補正あり・なしの違いがわかりやすいです。それぞれの写真を編集ソフト等で扱う時は違いが鮮明です。

比較撮影で使用したレンズは4段分の手ぶれ補正搭載のNikonAF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRです。

この「4段」というのはシャッタースピード(露出)の段と同じ言葉です。

シャッタースピード
1 1/2 1/4 1/8 1/15 1/30 1/60 1/125 1/250 1/500 1/1000
カメラマン夫
カメラマン夫

シャッタースピード1/60を基準にした場合1段上がると1/125、下がると1/30と言うことになります。2段になれば上がると1/250、下がると1/15という表の左右の数字へ変動していきます。

表のように4段の手ぶれ補正が効くと言うことは「最低シャッタースピード1/125秒で撮影したい場面でシャッタースピードを1/15秒まで下げることができると言うことです。

もちろんメーカー公称値となるので、一概に理論通りになるわけではありません。しかしながら、撮影した写真を確認すると【手ブレ補正】が付いているレンズやカメラを使用していると、恩恵を受けていることが実感できる場面は間違いなくあります

注意点としては手ブレ補正機能だと言うことです。手ブレと言うのがキーワードになります。何が言いたいかと言うと被写体ブレ】は防げないと言うことです!!
例えると手ブレ補正機能のお陰でシャッタースピードを1/15まで下げても手ブレをしないけど、撮影している被写体が子どもやペットなどの動きのある被写体の場合は、被写体ブレが発生すると言うことです。動きのある被写体を撮影する場合は、被写体ブレが起きない速さまでシャッタースピードを早くする必要があると言うことになります。【手ブレ補正≠撮った写真がブレない】と言うことに注意する必要があります。

私の贔屓にさせていただいているサトーカメラさんのこちらのYoutubeも参考になります。

9:30から手ぶれ補正を検証しています。 

トレンドはボディ内手ブレ補正

5軸方式ボディ内手ブレ補正】が主流

手ブレ補正には【レンズ内手ブレ補正】と【カメラボディ内手ブレ補正】があります。

カメラボディ内に手ブレ補正機構が備わっていれば、使用する全てのレンズに対して手ブレ補正が効くことになります。
そのことから、主要カメラメーカーの現行機種はボディ内手ブレ補正機構が備わっているモデルが多数占めています。

さらに、手ブレ補正の中でも5軸方式ボディ内手ブレ補正が主流となっています。

レンズ内手ブレ補正機構よりも幅広い動きに対応できることもあり、主要カメラメーカーのトレンドとなっています。

カメラマン夫
カメラマン夫

更に近年ではボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正機能を協働するシステムが増えてきました。PanasonicではDual I.S.と言う名称で好評を得ています。もちろんその他メーカーも名称は違えど、同等の【手ブレ補正協働機能】を有しているモデルが発表・発売されています。

レンズ内手ブレ補正

ではボディ内手ブレ補正が主流の今レンズ内手ブレ補正は不要なのか?

答えは【NO】です。

・レンズとボディ手ブレ補正の協働
第一にレンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正の協働技術が進歩してきたことです。
最近のカタログでは【手ブレ補正〇〇段】の後に注意書きで【ボディ・レンズ内手ブレ補正協働の場合】といった文言も目にします。
・望遠撮影ではレンズ内手ブレ補正が有利
またレンズ内手ブレ補正はボディ内手ブレ補正と比べて上下のブレに強い傾向にあります。そのため望遠撮影では、レンズ内手ブレ補正を優先するほうがブレの少ない撮影をすることができます。
・フィルムカメラでも使える
そして、地味なところではレンズ内手ブレ補正の場合は【フィルムカメラでも使える】レンズがあります。

【Nikon F100で】 水族館でフィルム写真が撮りたい!!【遊ぶ】|カメラ買取・販売専門店のナニワグループ
こんにちは!!レモン社池袋店の石井です(・∀・)夏だし水族館でフィルム撮影したいな~ってふわっと思いまして。NikonF100で!!遊んできましたYO☆第二弾!!なぜかやたらうちの店に在庫があるんですよF100。なんで、F100はいいぞー!!って再度の紹介でもあります。うっす。撮影地はサンシャイン水族館

↑こちらのカメラのナニワさんの記事ではフィルムカメラでレンズ内手ブレ補正を使った撮影について書かれいます。カメラマン夫はフィルムカメラを使ったことがないので大変参考になる記事です。


ボディ内手ブレ補正は必須か?

ここで質問ですが、「カメラの購入時に手ブレ補正機能が付いていないカメラはダメなのか?」ということです。

結論
必ず必要ではない。自分の撮りたい写真・シーンを考えて手ブレ補正が必要か考えるの重要です。例えると「風景写真中心」で「三脚を使った撮影がメイン」の場合は手ブレ機能は必須項目ではなくなります。

手ブレというのは、基本的にシャッタースピードが遅くなることで発生する問題です。

近年のカメラでは好感度耐性(高いISO感度でも大丈夫)になっており、ISO感度を上げてもノイズが目立たなくなってきました。


ISOとシャッタースピードの関係性は以下の記事で説明をしています。

「ISO感度」の基本。夜景や室内の撮影で活用 

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一眼カメラを購入してから、設定のための項目や数値が多く存在しますよね? それぞれがどのような役目なのか、理解するまで少し...

暗所でシャッタースピードが遅くなってしまう場合は感度を上げることでシャッタースピードを稼ぐことできます。このことから手ブレ補正機能は必須項目ではないということになります。

望遠レンズを使う場合は必須!?

望遠レンズの場合は少しのブレでも大きなブレになります。そのため手ブレ補正があると安心・安定感が違います。

カメラマン夫
カメラマン夫

実際に私も望遠レンズを使用する時に、三脚を立てずにとっさの撮影をする時に恩恵を受けています。また自然の中を歩きながら撮影を行うときも撮影がとても楽になり、手ブレ補正は重宝します。

オールドレンズを使う時はボディ内手ブレ補正は◎

100mm程度の中望遠のオールドレンズを使う時などはボディ内手ブレ補正があると断然撮影が楽になります。

前述したとおり、古いレンズもボディ内手ブレ補正であれば、手ブレを抑制してくれるからです。プロのカメラマンさんでもオールドレンズとボディ内手ブレ補正のカメラの組み合わせで撮影を行っている人は多くいます。

ただし、最近のレンズでレンズ側に手ブレ補正が付いている場合は「ボディ内手ブレ補正」は必須条件ではなくなります。

まとめ

手ブレ補正の段数とは

・手ブレ補正1段=シャッタースピードが1段遅くできる例:シャッタースピード1/601/30にしても手ブレしない。

・手ブレ補正1段=ISO感度を一段下げれる
例:ISO感度ISO800→ISO400に下げても同じシャッタースピードで手ブレしない。

・ボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正を協働できるモデルもある

・望遠撮影ではレンズ内手ぶれ補正のほうが補正が効く

手ブレ補正は必須条件か?

・必須条件ではない風景撮影など撮影スタイルによっては必須条件ではない。

・中望遠~望遠のオールドレンズを使う場合はあったほうが便利
ボディ内手ブレ補正手ブレ補正はオールドレンズでも手ブレ補正が効きます。手ブレの影響が大きい中望遠~望遠レンズを使用する場合はあると撮影が楽になります。

このように手ブレ補正の段数について知ることで、手ブレ補正機構の必要の有無が判断できるようになりました。現在のカメラ市場が手ブレ補正があって当たり前になっています。しっかりと自分の撮影スタイルを確認して、カメラに対して必要な機能なのか?そうでないのか?を検討してみてください。

また、今回の記事が読んでくださった方のカメラ選びのお手伝いができたら幸いです。

ボディ内手ブレ補正搭載のおすすめカメラ

以下リンクから商品購入された場合は当ブログの収益となります

ここからは、カメラマン夫が【気になる・おすすめ】のボディ内手ブレ補正搭載のカメラをご紹介!!

OM SYSTEM

はじめは【OM SYSTEM】です。

旧OLYMPUSですね。カメラマン夫のイメージとしては当時OLYMPUSが発売した【OM-D EM5】がボディ内手ブレ補正の先駆けというイメージです。当時で5段分のボディ内手ブレ補正搭載と衝撃的でした。ただセンサーサイズがマイクロフォーサーズと高感度耐性面で不利な面があり、ISO感度を上げずに低速シャッターでブレない写真を撮るための機能だったと思います。しかし、このOMシリーズの登場により、ボディ内手ブレ補正は各社メーカー追随する流れをよんだと感じます。

↑革新的だったE-M5も初代モデルは手の届きやすい価格になりました。一眼レフユーザーにおすすめ。ミラーレスやボディ内手ブレ補正搭載のカメラをお試しでいかがですか?

そして、OM SYSTEMのフラッグシップ機【OM-1

ボディ内手ブレ補正はなんとボディ単体で「7段」!!さらにレンズ内手ブレ補正との「シンクロ手ブレ補正で最大8段」の手ブレ補正を実現しています。

Panasonic

次に紹介するのはPanasonic。ボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正の協働機能【Dual I.S.】にいち早く着手した印象のPanasonic。ここで紹介するのは最強手ブレ補正と評判の【LUMIX S5Ⅱ】です。

カメラマン夫
カメラマン夫

ボディ内手ブレ補正「5段」、Dual I.Sで「6.5段」の手ブレ補正搭載です。

サトーカメラのオート先生がLUMIX S5M2実機を使った解説動画をアップしてくれています。


手ブレ補正に関してはボディとレンズの手ブレ補正協働システムの【Dual I.S.2】さらに電子補正・手ブレ補正ブーストが実装。LUMIX S5Ⅱでは、さらに【アクティブI.S】の機能が実装しました。

DC-S5M2/S5M2X | Sシリーズ フルサイズ一眼カメラ | 商品一覧 | LUMIX(ルミックス) ミラーレス一眼カメラ・デジタルカメラ | Panasonic
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