「シャッタースピード」の基本。手ブレを抑える設定

カメラの基本

「写真がブレてしまうなぁ」と撮影した写真を見返して感じることないですか?

それはシャッタースピードの問題であることが大半でしょう。

一眼カメラを使った撮影は、カメラの撮影設定が重要になり、シャッタースピードも思い通りの写真を撮影するために、仕組みを理解しておくことが必要です。

今回は、シャッタースピードの値を変化させることで、写真がどのように変化するのかを、わかりやすく解説していきます。

一眼カメラの設定

写真の3要素

一眼カメラを使った撮影を行うとき、色々な数値を目にすると思います。

主に「ISO感度」「シャッタースピード」「絞り」の数値を調整して撮影を行います。

シャッタースピードは光を取り込む時間

シャッタースピード比較

シャッタースピードは、写真撮影において「シャッターを開けている時間」です。シャッタースピードが遅い場合、シャッターが開いている時間が長くなり、光を取り込む時間も長くなります。その結果、写真は明るくなります。

ただ、シャッタースピードだけで明るさを調整するわけではなく、「絞り(F値)」や「ISO感度」との関係性も重要です。ですので、シャッタースピードを上げると写真は暗くなり、シャッタースピードを下げると明るくなります。これがシャッタースピードの仕組みです。

動く被写体を止める

使用カメラ :D750 レンズ:AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR
シャッタースピード :1/200  F ナンバー:f 4  焦点距離 :55mm(35mm換算) ISO :1400

シャッタースピードを調整する場面として、高速で動く被写体をブレることなく静止させたいときに有効です。

シャッタースピードを上げると、シャッターを開けている時間が短くなり、記録できる情報量も制限されます。

シャッタースピードを上げることで、一瞬のシーンを記録することができます。被写体を追いかけながら背景も止めることができます。

流し撮り

流し撮り 使用カメラ :D750 レンズ:TAMRON AF 28-300mm F3.5-6.3 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A061)
シャッタースピード :1/30  F ナンバー:f 22  焦点距離 :30mm(35mm換算) ISO :100

シャッタースピードを遅くすることで、動いている被写体を追尾しながら撮影する「流し撮り」が可能です。この撮影手法では、被写体はしっかりと止まったままでありながら、背景は流れる効果が生まれます。

「流し撮り」は、動く被写体にダイナミックな表現を与えたい場合や、暗いシーンでシャッタースピードをさらに遅くできない場合に活用されます。

Nikon公式You Tubeより
2:00過ぎから流し撮りについて解説があります。

長時間露光撮影

使用カメラ :Nikon D750 レンズ:TAMRON SP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09 II)
シャッタースピード :30秒  F ナンバー:f 2.8  焦点距離 :28mm(35mm換算) ISO :200

シャッタースピードを極端に遅くする撮影方法も存在します。シャッタースピードを遅くすることで、光を長時間取り込むため、夜間や光が少ない室内でも明るさを確保することができます。

特に夜間の長時間露光撮影では、三脚を使用して数秒間シャッターを開けることで、明るさを調整します。シャッタースピードの調整は、この撮影方法では欠かせません。

シャッタースピードを上げる

以下では、シャッタースピードの変化によってどのようなメリット・デメリットがあるのかを解説していきます。

まずは、シャッタースピードを上げた時の写真の変化について紹介していきます。

手ブレを抑えて被写体を止める

シャッタースピードが低下すると、わずかな揺れや手ブレが写真に影響を与えます。しかし、シャッタースピードを高く設定することで、揺れや手ブレを防ぐことができ、被写体がぼやけずに撮影できます。特に動きの速い被写体に対しては、1/2000秒以上の高速シャッタースピードを使用すると、手ブレを効果的に抑制することができます。

カメラマン夫
カメラマン夫

上記で紹介しているNikonの鉄道撮影の動画内では1/1000以上にシャッタースピードを設定するとあります。私の場合は動きのある被写体は1/500を目安に、環境に応じてシャッタースピードを上げていくようにしています。被写体(動物・鉄道・飛行機など)によって必要なシャッタースピードが変わってきます。このブログを読んでくれているカメラマンさんの撮る被写体に応じて、適切なシャッタースピードを見つけてみましょう。

ただし、シャッタースピードの選択は被写体や撮影シーンによって異なります。暗い環境では、シャッタースピードを下げることで光を取り込む時間を長くする必要がありますが、同時に手ブレにも注意が必要です。適切な露出と手ブレのバランスを保つためには、ISO感度や絞り値の調整も重要です。

シャッタースピードは写真のクリアさや被写体の動き表現に直接影響を与える重要な要素です。撮影目的や環境に応じて適切なシャッタースピードを選択し、揺れやブレを最小限に抑えながら鮮明な写真を撮影しましょう。

光を取り込む量が少なくなる

シャッタースピードでの写真比較

手ブレを抑えるためには、シャッタースピードを上げることが一般的ですが、過度にシャッタースピードを上げることにも注意が必要です。

シャッタースピードを上げると、撮影する瞬間の時間が短くなります。一眼カメラでは、シャッターを切った瞬間にセンサーが光を取り込みます(一眼レフはミラーが動作)、高速なシャッタースピードでは、その動作が目で見えないほど速くなります。しかし、撮影した写真はシャッタースピードの違いが大きな影響を受けますシャッタースピードを上げると一度に取り込む光の量が減少し、写真は暗くなります。

この暗くなる現象に対応するためには、絞り値(F値)を開放する(下げる)ことやISO感度を上げることが必要になります。しかし、絞り値を開放にしすぎるとピントの範囲が狭まり、ISO感度を上げすぎるとノイズが増加するなどの問題が生じます。そのため、適度なシャッタースピードを選びながら、露出やノイズのバランスを調整する必要があります。

手ブレを抑えつつ、適切な明るさと品質を保つためには、シャッタースピードだけでなく、絞り値やISO感度など、他の設定とのバランスを考慮することが重要です。撮影シーンや被写体に合わせて適切な設定を行い、理想の写真を撮影しましょう。

シャッタースピードを下げる

ここからはシャッタースピードを下げることでどのような変化があるのかを解説していきます!!

明るく撮影

使用カメラ :Nikon D5000 レンズ:SIGMA17-50mm F2.8 EX DC OS HSM
シャッタースピード :2/5  F ナンバー:f 2.8  焦点距離 :75mm(35mm換算)

暗い状況での写真撮影において、シャッタースピードを下げることで光を効果的に取り込むことができます。シャッタースピードを落とすことで、光がセンサーに長い時間当たるため、写真に明るさを与えることができます

ただし、シャッタースピードを下げ過ぎると、光を取り込みすぎて「白飛び」と呼ばれる現象が生じる可能性があります。白飛びは写真のハイライト部分が過度に明るくなり、細部が失われる結果となります。

適切なシャッタースピードの設定は、光の量や被写体の動きに応じて調整する必要があります。写真の明るさを調整する際は、他の設定とのバランスも考慮しながら適切な調整を行いましょう。

本編で紹介した写真を画像ソフトでおおげさに露出を上げて「シャッタースピードを下げた」イメージの写真です。明るくする目的でシャッタースピードを下げすぎると、赤丸で囲んだように「白飛び」する場合があります。写真の3要素である【ISO・絞り(F値)・シャッタースピード】をバランスよく設定するのが重要です。

手ブレしやすくなる

シャッタースピードを落とすことで、シャッターが開いている時間が長くなり、光をより多く取り込むことができます。しかし、シャッターが開いている間に揺れが生じると、写真にもブレが生じやすくなります。

特に手持ちでの撮影では、シャッタースピードを下げることで手ブレが発生するリスクが高まります。手ブレを抑えるためには、三脚を使用してカメラを固定することが重要です。三脚を使用することでカメラの安定性を確保し、シャッターが開いている間でもクリアな写真を撮影することができます。

手持ち撮影でシャッタースピードを下げる場合は、自分の手ブレの傾向や限界を把握し、できるだけ安定した姿勢を保つことも大切です。また、レンズの手ブレ補正機能を活用することも考慮しましょう。

シャッタースピードの設定は撮影シーンや被写体の動きに合わせて適切に調整することが重要です。手ブレを最小限に抑えつつ、撮影したい被写体をクリアに捉えるために、シャッタースピードの適切な使い方に注意しましょう。

手ブレしない目安「1/焦点距離」

一般的に、手ブレを抑えるための目安とされるシャッタースピードは、1/焦点距離(焦点距離の逆数)】になります。たとえば、焦点距離が50mmの場合、1/50秒が目安とされ、焦点距離が400mmの場合は、1/400秒が目安とされます。

望遠レンズのような長い焦点距離では、被写体の揺れや手ブレがより顕著になるため、高速なシャッタースピードが必要です。逆に広角レンズなどの短い焦点距離では、手ブレが目立ちにくくなりますので、やや低速なシャッタースピードでも安定した写真を撮影できることがあります。

ただし、この目安は一般的な指標であり、撮影条件や個人の撮影スタイルによって異なる場合もあります。また、手持ち撮影の場合は個人の手ブレの特性や体の安定性も考慮に入れる必要があります。

撮影時には焦点距離とシャッタースピードの関係を意識し、適切なシャッタースピードを設定することで、手ブレを最小限に抑えたクリアな写真を撮影することができます。

シャッタースピードを理解して一眼カメラらしい撮影

シャッタースピードは、「絞り(F値)」や「ISO感度」と比較して理解しやすい設定です。主なポイントは手ブレを防ぐ適切なシャッタースピードを覚えることです。流し撮り・夜景以外の撮影では、意図的にシャッタースピードを下げる必要はありません。

特に夕方から夜にかけての撮影は、明るさが急速に変化するシーンですので、シャッタースピードの変化に注意が必要です。撮影時には設定を頻繁に確認しながら撮影することをおすすめします。

なお、シャッタースピードの他の利用方法として、長時間露光撮影や高速シャッターでの停止撮影など、表現の幅を広げるために意図的に設定を変える場合もあります。撮影の目的や撮影対象に合わせてシャッタースピードを調整し、写真に表現力を与えることも重要です。

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