一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラを始めた方が最初に手にすることが多いのが標準レンズです。
カメラにセットになっているズームレンズが初めて手にするレンズになるケースが多いでしょう。35mm換算で24-75mm程度のレンズがセットになっていることが多いです。標準王道が50mm。50mmを軸に標準の広角側が35mm、望遠側が70mmと言ったところでしょうか。大体35-70mmが標準レンズの焦点距離だと考えられます。そのため、カメラとセット販売されているレンズは標準域をカバーしているズームレンズであると言えます。
これからカメラを趣味や仕事として行くうえで、標準レンズが何を意味し、どのようなシチュエーションに適しているかを理解することは重要です。今回は、標準レンズの基礎知識と、メーカー別のおすすめレンズを紹介します。
標準レンズとは
標準レンズとは、写真撮影において頻繁に使用される「標準域」の焦点距離を持つレンズのことです。
カメラマン夫(このブログ)は、この50mmを基準に標準域の広角側を35mm、望遠側を70mmとして標準域の定義とします。
※これはカメラマン夫の定義です。経験値が上がってくるとどこからどこまでが標準かが曖昧になってきます。35mmは広角、70mmは中望遠と言った意見もあるかと思います。
焦点距離とは、写真に収める画角を言います。標準域とは肉眼に近い画角の範囲を指します。そのため、見たままの景色を写真に収めやすく、構図やフレーミングの基本画角とされます。
標準レンズの焦点距離は、イメージセンサーがフルサイズ機では50mm前後、イメージセンサーのサイズがAPS-C機では30mm前後、マイクロフォーサーズでは25mm前後が一般的です。
標準レンズの他にも、広い範囲を撮影できる広角レンズや、遠くの被写体を撮影する望遠レンズなど、さまざまな種類のレンズがあります。それぞれのレンズには特有の特徴と用途があり、撮影シーンに応じて選ぶことが重要です。
フルサイズ、APS-Cのセンサーサイズの違い、画角の違いについてはこちらの記事を参考にしてください。
標準レンズの種類
標準レンズは、大きく分けてズームレンズと単焦点レンズの2種類があります。
標準ズームレンズは、標準域の焦点距離の範囲内でズームイン・ズームアウトが可能です。そのため、遠くの被写体に寄ったり、広い範囲を撮影したりと、使い勝手のいいレンズです。
一方、標準単焦点レンズは焦点距離を変更できないため、被写体に自分で寄ったり離れたりして調整する必要があります。しかし、標準単焦点レンズの多くは、標準ズームレンズよりもF値が小さいのが特徴です。
F値とは、レンズが取り込む光の量を数値化したもので、数値が小さくなるほど多くの光を取り込むことができます。標準ズームレンズでは明るくても開放F2.8が一般的なのに対し、標準単焦点レンズでは開放F1.8以下のものが多く、ボケの美しい明るい写真を撮影できるのが魅力です。
絞り(F値)についてはこちらの記事を参考にしてください。
標準ズームレンズ
標準ズームレンズとは、一般的に焦点距離が24mmから70mm程度の範囲をカバーするズームレンズのことです。この範囲は、人間の視野に近いため、「標準」と呼ばれています。
【柔軟な焦点距離】
広角から中望遠までをカバーし、多様な撮影シーンに一本で対応できます。
【日常使いに最適】
旅行、ポートレート、風景、スナップショットなど、様々な撮影に適しています。
【コンパクト】
一般的に持ち運びがしやすく、初心者からプロまで幅広く愛用されています。
【多用途】
広角側では風景や建築物の撮影に適し、中望遠側ではポートレートや遠くの被写体を捉えることができます。
【使いやすさ】
ズーム機能により、レンズを交換せずにシーンに合わせた撮影が可能です。
【高品質】
最近の標準ズームレンズは、光学性能が向上しており、鮮明でクリアな画像を提供します。
【F値】
一般的に標準ズームレンズの最大開放F値は2.8~6.3の範囲が多く、単焦点レンズに比べると暗い場合があります。
【サイズと重量】
広範囲をカバーするため、単焦点レンズに比べるとやや重く、大きくなることがあります。
標準単焦点レンズ
標準単焦点レンズとは、固定された焦点距離を持つレンズのうち、一般的に焦点距離が50mm前後のものを指します。この焦点距離は、人間の視野に近い画角を提供するため、「標準」と呼ばれています。
【固定の焦点距離】
焦点距離が固定されているため、ズームができません。その代わり、一般的に高い光学性能と明るさを持ちます(描写力が高い)。
【明るいレンズ】
多くの標準単焦点レンズは開放F値が1.8以下であり、暗い場所シャッタースピードを稼げたり、ISO感度をあげずにノイズの少ない写真を撮ることができるなどの利点があります。また、背景を美しくボケさせることができます。
【コンパクト】
シンプルな構造のため、ズームレンズに比べてコンパクトで軽量です。
【高画質】
単焦点レンズはズーム機構がない分、レンズ設計が簡素であり、高い描写力を得ることができます。(レンズの枚数が少ないなどレンズとして無理のない設計のため)
【明るさ】
開放F値が低く、明るいレンズが多いので、暗所でも手ブレを抑えた撮影が可能です。
【美しいボケ】
大きな開放絞りにより、美しいボケを作り出すことができます。ポートレート撮影などで背景をぼかして被写体を際立たせるのに適しています。
【撮影技術の向上】
ズームがないため、自らの足で動いてフレーミングを調整する必要があります。これにより、撮影者の構図力や被写体との距離感を学ぶのに最適と言われます。
【ズームができない】
焦点距離が固定されているため、被写体との距離を自分で調整する必要があります。屋内など被写体との距離が制限された環境では複数のレンズを用意する必要があります。
【用途が限定される場合がある】
焦点距離が決まっているため、特定のシーンでは不便に感じることがあります。ズームできないでも上げたように屋内で被写体と距離が近い、屋外の遠くの被写体を撮りたいと言った時に、標準単焦点レンズ一本では対応することができない。
ほとんどの初心者からステップするカメラマンさんが1番初めに手にする「単焦点レンズ」は35mm換算で50mmの標準単焦点レンズです。実際私が初めて購入した単焦点レンズはAPS-C専用35mmのレンズでした。APS-C用の35mmはフルサイズ換算で50mm相当となります。特にカメラ初心者のカメラマンさんはAPS-C機からスタートする人が多いと思われますので、このAPS-C専用35mmの単焦点レンズを初めての単焦点レンズに選ぶカメラマンさんも多いのではないかと思います。
標準レンズは王道レンズ
【レンズの王道】
「標準レンズは王道レンズ」です。基本的に1本持っておくことをオススメします。標準と呼ばれる理由は、あらゆる撮影の基準となる画角だからです。撮影技術の向上のためにも、まずは標準レンズをマスターすることが大切です。
標準ズームレンズの場合、広角側と望遠側で写真の写り方が異なるため、シチュエーションに応じて広角側と望遠側を使い分けることで、表現の幅を広げることができます。標準ズームレンズは、レンズキットに付属していることが多く、初心者から上級者まで多くの人が所有するレンズです。
私も標準ズームレンズは仕事用とプライベート用と所有しています。プライベートではキットレンズを使うことが多いです。キットレンズからのステップアップをオススメはするのですが、行き着く先はけっこうキットレンズだったりします。各メーカー、キットレンズは初めてカメラを購入するユーザーさんが一番初めに使うレンズと言う認識のもと、軽量ながら描写力も侮れないレンズに仕上がっています。特に近年はミラーレスへの移行によりマウント経の大型化に伴い、軽量・高描写のキットレンズが増えています。
【シチュエーション】
標準レンズは、日常的なスナップ写真、風景写真、ポートレート撮影など、多くのシーンで使うことができるレンズです。特に標準ズームレンズは、名前の通り広角から中望遠までズームでき、様々な場面をレンズ一本で撮影できるため重宝します。
被写体の背景をボカした撮影をしたい時は、できるだけF値の低い、明るい標準ズームレンズ、単焦点レンズがあるといいです。カメラキットの標準レンズで満足できない場合は、明るい純正レンズやサードパーティー製(タムロンやシグマなど)のレンズを導入するのがオススメです。
各メーカーのオススメ標準レンズ
ここからはカメラマン夫が選ぶ【各メーカーのオススメ標準レンズ(単焦点・ズーム一本づつ)】を紹介させていただきます。
Nikon
Nikonは一眼レフ用の【Fマウント】とミラーレス用の【Zマウントから】各1本づつ紹介します。Fマウントレンズは生産終了しているので中古での購入を想定しています。
【NikonFマウント:ズームレンズ】
・AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR
このレンズはNikonAPS-C(DX)専用の標準ズームレンズです。レンズ自体はセットレンズとして多くのニコンユーザーが手にしたレンズです。
「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G」はロングセラーレンズなので時代によってGのみ、GⅡ、VR、VRⅡと様々種類があります。その中でも今回紹介するVR(VRⅡじゃない)は特に描写力に定評があるレンズでセットレンズの神レンズとも言われていたレンズです。特に注目する点は約265gと言う軽さです。「軽さは正義」とカメラ界では言われるのですが、持ち出すのに億劫にならないこのレンズはオススメです。カメラマン夫はVR(手ブレ補正機能)以前のAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6GⅡを使っていました。思い出のたくさん詰まったレンズでもあります。
【NikonFマウント:単焦点レンズ】
・AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G
焦点距離が35mm判換算52.5mmで、開放F値1.8のニコンAPS-C(DX)専用標準単焦点レンズ。一番は標準単焦点レンズとして王道を行くスペックでありながら、新品でも2万円ちょっとで購入(中古だと1万円ちょっと)できるところ。このレンズを手にしたニコンユーザーは数しれないでしょう。そしてレンズ交換式カメラの魅力に取りつかれるキッカケになったレンズではないでしょうか。
【NikonZマウント:ズームレンズ】
・NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
ニコンZマウントからはZ 24-70mm f/4 Sをオススメ。新品価格がほとんど同じZ 24-120mm f/4 Sの登場により影が薄いレンズになってしまいましたが、中古市場では6万円代からと手に入れやす価格帯のレンズになっています。ニコンZレンズの高級レンズSラインを冠しており、ズーム全域でF4通しと言う魅力的なレンズです。
【NikonZマウント:単焦点レンズ】
・NIKKOR Z 40mm f/2
Zマウント対応の40mm単焦点レンズ。重量170gと小型・軽量なのが一番の魅力。APS-C機で使用しても60mm相当と標準レンズとして使用することが可能です。
Canon
Canonは一眼レフ用の【EFマウント】とミラーレス用の【RFマウントから】各1本づつ紹介します。EFマウントレンズは生産終了しているので中古での購入を想定しています。
【キャノンEFマウント:ズームレンズ】
・EF24-70mm F4L IS USM
プロ向け「Lシリーズ」のフルサイズ対応小三元標準ズームレンズ。このレンズはプロカメラマンさんも多くの人が使用しているイメージがあるレンズです。ミラーレスの移行により手にしやすい価格帯になっています。
【キャノンEFマウント:単焦点レンズ】
・EF50mm F1.8 STM
フルサイズ対応で価格は2万円を切って、軽量・コンパクト。キャノンの一眼レフユーザーなら、単焦点レンズデビューに最適の一本です。
【キャノンRFマウント:ズームレンズ】
・RF24-105mm F4 L IS USM
望遠側が105mmと中望遠までフォローしてくれる標準小三元レンズです。F4通しと5倍ズームと使い勝手バツグンのレンズです。
【キャノンRFマウント:単焦点レンズ】
・RF50mm F1.8 STM
EFマウントで紹介したEF50mm F1.8 STMのRFマウントバージョン。RF50mm F1.8 STMは現行レンズながら3万円程度で購入できるレンズです。
SONY
ソニーはフルサイズミラーレスを牽引したメーカーです。ソニーのレンズ紹介ではフルサイズミラーレスEマウントレンズを紹介します。
【ソニーEマウント:ズームレンズ】
・FE 24-50mm F2.8 G SEL2450G
高級ライン「Gシリーズ」。F2.8通しの大三元レンズながら焦点距離24-50mmとすることで一般的な24-70mmと比べてリーズナブルな価格設定になっている。2024年4月発売の最新レンズ。
【ソニーEマウント:単焦点レンズ】
・FE 50mm F1.8 SEL50F18F
メーカー希望小売価格¥38,000(税別)-と50mm/F1.8の王道の一本。単焦点レンズ入門には最適。
富士フイルム
富士フイルムはフルサイズ機がなく中版機とAPS-C機のラインナップになります。ここではAPS-C対応のXマウントをご紹介。
【富士フイルムXマウント:ズームレンズ】
・XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS
35mm換算で「27-84mm」F値は2.8-4での変動と明るいレンズです。2012年発売と10年前のレンズですが、中古市場での価格がこなれてきており手にしやすいレンズになりました。
【富士フイルムXマウント:単焦点レンズ】
・XC35mmF2
開放F値2.0、焦点距離35mm(35mm判換算:53mm相当)の標準単焦点レンズ。2020年発売。新品実売価格で3万円程度。
OMシステム
元オリンパスのOMシステム。パナソニックと共同でマイクロフォーサーズシステムを展開してミラーレスの時代を切り開いたミラーレスのパイオニア。OMシステムはマイクロフォーサーズのみの展開なります。
※レンズはオリンパス名とOMシステム名と混在しています。基本同じ販売元と思って選んで大丈夫です。
※OMシステム・パナソニックのマイクロフォーサーズレンズはどちらのボディでも装着することが可能です。
【OM-S(オリンパス)M43マウント:ズームレンズ】
・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
マイクロフォーサーズは望遠側が有利になる傾向にあるため、このレンズは35mm換算で「24-90mm」でF4通しのズームレンズです。自分で買うならマイクロフォーサーズの標準ズームはこれを選びます。
【OM-SM43マウント:単焦点レンズ】
・M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
オリンパス・OMシステムではこの25mmF1.8一択になると思います。上位モデルはPROモデルの25mmF1.2は15万以上と高額になります。
Panasonic
パナソニックはマイクロフォーサーズとフルサイズを展開しています。ここではマイクロフォーサーズのレンズを紹介。パナソニックはライカを冠したレンズ郡があります。
※OMシステム・パナソニックのマイクロフォーサーズレンズはどちらのボディでも装着することが可能です。
【パナソニック M43マウント:ズームレンズ】
・LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 II ASPH./POWER O.I.S. H-HSA12035
メーカーHPのラインナップにないので終息かも!?新品で10万円ほどで大三元レンズが手に入ります。少し値は張りますが、マイクロフォーサーズなら狙い目のレンズだとです。
【パナソニック M43マウント:単焦点レンズ】
・LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 II ASPH. H-XA025
あこがれのライカレンズが10万円もしない価格で手に入る。評価も高く実際に使っているカメラマンが多い印象です。
PENTAX
ペンタックスは継続して一眼レフカメラの製造を行うメーカーとしてレフ機愛好者さんの頼みのメーカーです。最近ではモノクロ専用機やオールドレンズを再現した最新レンズなどを発表しています。
【ペンタックス Kマウント:ズームレンズ】
・HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WR
大三元標準ズームの王道。フルサイズ対応でメーカー純正ながら新品でも13万円代で購入可能と魅力的なレンズです。
【ペンタックス Kマウント:単焦点レンズ】
・smc PENTAX-FA 50mmF1.4 Classic
ペンタックスの単焦点レンズでオススメがこちら!50年以上前に設計されたオールドレンズで撮影したような虹色フレアなどを再現した最新設計のオールドレンズ。ペンタックスユーザーなら手にしたい一本
番外:カメラマン夫の使っている標準レンズ
誰徳情報ですが、実際に私が使用している標準ズームと標準単焦点レンズを紹介します。
【ニコンFマウント:標準ズーム】
・AF-S NIKKOR 24-120mm f/4 G ED VR
フルサイズ対応の5倍ズーム小三元標準ズーム。仕事はほとんどこれ一本で撮影しています。標準ズームですが望遠が120mmまで対応しているので中望遠まで一本でフォローしてくれます。
【ニコンFマウント:単焦点レンズ】
・AF-S NIKKOR 50mm f1.8 G
ズーム派のわたしも評価や中古で2万円以内で購入できるのが魅力で手にいれたレンズです。おそらくニコンのデジタル一眼レフを持っている人の7割以上が持っているんじゃないかと思うほど「ド定番」の50mm単焦点レンズです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?このブログを書かなければ「標準レンズと言われてじっくり考える機会もなかった」と思います。標準レンズと一括りにいっても焦点距離は50mmと決まっているわけではないし、明るさやレンズサイズ、描写性能などさまざまです。
今回紹介したレンズを参考に、ぜひ「自分に合う一本」を見つけていただければと思います。
このブログを読んでいただきありがとうございました。
カメラ機材の関連記事
コメント