はじめに
風景やポートレート、動物撮影など、さまざまなシーンで活躍する「望遠レンズ」。その中でも特に注目したいのが、「圧縮効果」です。写真をはじめたばかりのカメラマンさんには少し不思議な現象かもしれませんね。
この「圧縮効果」はうまく活かせば写真の印象を大きく変えることができます。この記事では、望遠レンズの圧縮効果についてわかりやすく解説し、実際の撮影への活かし方をご紹介します。

カメラ :NikonD750 レンズ:TAMRON AF 28-300mm F3.5-6.3 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A061) 焦点距離:240mm
圧縮効果とは?

カメラ :NikonD7000 レンズ:TAMRON AF 28-300mm F3.5-6.3 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A061) 焦点距離:300mm(35mm換算:450mm)
圧縮効果とは、望遠レンズを使ったときに「遠くの被写体が近くにあるように見える」現象です。実際の距離は変わらないのに、背景がグッと引き寄せられたように写るため、前後の被写体の距離感が縮まり、被写体同士が密集して見えるのが特徴です。
圧縮効果が生まれる理由
この効果は、望遠レンズの画角(写る範囲)が狭く、背景を大きく切り取ることに起因しています。また、遠くから被写体をズームで捉えるため、パースペクティブ(遠近感)が抑えられ、平面的な印象になります。広角レンズが奥行きを強調するのに対し、望遠レンズは背景を近づけて「密度感」や「重なり」を強調する効果があります。

圧縮効果について文章を読んで理解するのは、なかなか難しいと思います。特にカメラ入門者・初心者の方は標準ズーム一本だと体感しづらいでしょう。圧縮効果が体感してわかりやすいのはやはり【望遠レンズ】を使用することでしょう。「新しいレンズを買う予算がないよ」と言う方は、「今持っているレンズの一番望遠側(標準ズームなら75mm〜90mmなど)を使ってみましょう。同じ被写体を一番ワイド側(24mm〜28mm)で撮影したものと比較するとわかりやすいです。」
圧縮効果の活用例
1. 桜並木や紅葉の密度を強調

カメラ :NikonZ5
レンズ:TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD (Model A035)
焦点距離:400mm
花や木が並んでいる風景を望遠で狙えば、遠くの花までグッと引き寄せられ、まるで花に包まれているかのような写真に仕上がります。

カメラ :NikonD750
レンズ:TAMRON AF 28-300mm F3.5-6.3 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A061)
焦点距離:210mm
2. 山の重なりをドラマチックに

カメラ :NikonD750
レンズ:TAMRON AF 28-300mm F3.5-6.3 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A061)
焦点距離:135mm
遠景の山並みを望遠で捉えると、本来距離のある複数の山が重なり合って写り、層のような美しい風景が生まれます。
3. 都会の密集感や圧迫感を演出
ビル群や人混みなど、密度の高い被写体をさらに詰め込んで写すことで、圧倒的な迫力を演出できます。
撮影のコツと注意点
-
三脚の使用:望遠になるほど手ブレの影響が大きくなるため、シャッター速度を速くするか、三脚を使いましょう。
-
ピントに注意:背景が引き寄せられることで、ピントがシビアになります。被写界深度も浅くなるため、主役にしっかりとピントを合わせることが重要です。
-
絞りの調整:ボケを活かすなら開放付近、背景の形を出すなら絞ると良いバランスが取れます。
まとめ
望遠レンズの圧縮効果は、写真の印象をガラリと変える力があります。風景をよりドラマチックに、ポートレートを印象的に、背景の要素を効果的に引き立てるために、ぜひ積極的に取り入れてみてください。圧縮効果を理解して活用することで、写真の表現の幅がぐっと広がります。
関連記事





コメント