カメラ本体の上にある小さなパーツ「ホットシュー」。出番がないときに付いている「ホットシューカバー」は本当に必要なのか——その疑問に答えます。屋外での保護、接点の劣化防止、撮影スタイル別の使い分けまで、実用的な視点でまとめました。
ホットシューとは何か?まずは基礎を押さえよう
ホットシューは外付けストロボ、ワイヤレストランスミッター、ガンマイク、電子水準器などを装着するための金属接点を備えた箇所です。単にアクセサリーを差すための台座というだけでなく、電気信号(発光指示、TTL通信など)がやり取りされる重要な接点でもあります。金属端子や接点部はホコリや水滴、傷に弱く、長期間放置すると接触不良や腐食につながることがあります。
ホットシューカバーを付けるメリット
- 端子保護:ホコリや砂、塩分などが接点に付着するのを防ぎます。特に海辺や砂埃の多い環境では効果が大きいです。
- 水滴・結露の飛入防止:急な雨や湿気の多い状況で、接点に水が入ると腐食等の原因になります。カバーはそれらをある程度防ぎます。
- 衝撃・擦り傷の予防:カメラをバッグに入れたときやうっかりぶつけた際に接点が削れるのを防ぎます。特に金属製のアクセサリーを載せっぱなしにしていると微小な傷がつきやすいです。
- 見た目:カバーをつけると見た目がすっきりし、余計な金具が目立たなくなります。純正カバーはロゴ入りで統一感が出ます。
- 長期保管時の安心感:長く使わない期間にカバーを付けておくだけで、次に使うときのトラブルを減らせます。
ホットシューカバーを付けない(外しておく)メリット
- アクセサリーの頻繁な着脱が楽:外付けフラッシュやマイクを頻繁に使う場合、いちいちカバーを外す手間が省けます。
- プロの現場では取り外しが一般的:スタッフワークで頻繁にアクセサリーを替える現場ではカバーは邪魔になるため外して使われることが多いです。
実際どうすればいい?撮影スタイル別のおすすめ
1. 旅行やスナップ撮影、登山などの屋外派

NikonZ5+NikonZ40mmf/2
屋外で風雨や砂埃にさらされる機会が多いなら、基本はカバーを付けておくことをおすすめします。短時間の雨や潮風にも予防的に耐えることができ、接点のトラブルを未然に防げます。撮影中に外付けアクセサリーを使う場合でも、使い終わったらすぐカバーを戻す習慣をつけると良いでしょう。
2. スタジオ撮影や室内中心の人

フードメニュー用撮影
埃や水のリスクが低い室内撮影中心なら、頻繁にアクセサリーを付け替える方は外しておいても問題ありません。ただし長期保管するならその間はカバーを付けておくと安心です。
3. 動画制作・ライブ配信でマイクやトランスミッターを常時装着する人
常時アクセサリーを装着する場合は、当然カバーは不要です。重要なのは接続部分を定期的にチェックし、接点に汚れや腐食がないか確認することです。
4. レンタルや業務用途で人の出入りが多い場合
複数人で機材を扱う現場では、カバーの有無に関するルールを決めておくと紛失やトラブルを防げます。貸出時はカバーを添えておくのが親切です。
Nikonユーザー向け補足(Zシリーズなど)
NikonのZシリーズや一部機種には購入時にホットシューカバーが付属しています。付属品の利点はフィット感が良く、デザインが統一される点です。紛失した場合でも純正パーツとしてメーカーで購入可能なことが多いので、モデル名で検索すれば取り寄せができます。

少し金額が高いですが、追加購入するホットシューカバーは高級感があり、ファッションアイテムとしても機能します。
SNS等では「サードパーティ製の金属製カバーはカッコいいけど、本体に傷をつけるから注意」という意見や、「小さなプラ製カバーを外すと無くす率が高い」という嘆きも見られます。Nikonユーザーの間では特にZマウントユーザーが“デザインを統一したい”という理由で純正カバーを好む傾向があるようです。
ホットシューカバーの選び方とおすすめポイント
- 純正かサードパーティか:純正はフィット感と外観の統一感、サードパーティは機能性(紛失防止ストラップ付き、水平器内蔵など)や価格の面で有利。
- 素材:プラスチック製は軽くて安い。金属製は高級感があり耐久性も高いが、本体側の塗装を傷めない形状か確認する。
- 脱着のしやすさ:頻繁に付け外しする人は工具不要で素早く外せるタイプが便利。
- 紛失対策:取り外し、取り付けのルールを決めておく
よくあるQ&A
Q. ホットシューに水がかかったらどうする?
A. すぐに電源を切り、乾いた柔らかい布で拭き取る。可能であればレンズとバッテリーを外し、風通しの良い場所で完全に乾かしてください。接点周りに錆や白い粉(塩分)が残る場合は専門店での点検を推奨します。
Q. ホットシューの接点が黒ずんでいる/接触不良が起きる
A. 清潔な綿棒にクリーニング液を少量つけ、優しく拭いてください。金属磨き剤は使わない方が安全です。症状が改善しない場合はメーカー修理を検討してください。
まとめ:結局、付けるべき?外すべき?
結論としては、「撮影スタイルに応じて使い分ける」のが最も現実的で賢い選択です。屋外での撮影や長期保管の際はカバーを付けておくことで接点の劣化や水・埃の侵入を防げます。一方で、頻繁にアクセサリーを付け替えるプロの現場や常時アクセサリー装着タイプの撮影スタイルではカバーを外したままで問題ないことが多いです。

小さなパーツでも機材を長持ちさせる“習慣”はとても重要です。カバーの有無だけでトラブルを避けられるわけではないものの、日常的なケアの一環としてカバーを有効活用してみてください。
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